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こんにちは、調律師の西見です。 ピアノは作られてからいったい何年使えるでしょうか?50年?100年?それ以上? その答えは様々な意見がありますが、特に決まった寿命は存在しません。 ピアノの寿命について考えるとき、物理的な側面と技術的な側面に分けて考えることが必要です。 1.物理的な側面 物理的な側面とは、ピアノの限界年数や実用年数のことです。 単純に音が出るだけなら、弦を支えている鉄骨(フレーム)が割れていない、弦が切れていない、中のパーツが折れていない等、最低条件はあるにせよ、100年程度は持つでしょう。音楽をきちんと奏でられる状態は使用頻度と環境に加えて、定期的ににメンテナンスがなされているかが影響します。 ピアノには膨大な数のパーツが使われています。そしてそのパーツが組み合わさり、連動することで音が出ます。各パーツの接点には摩擦や衝撃が発生し、使用するたびに摩耗(劣化)していくので、これらの消耗品は交換の必要があります。音大生のように毎日何時間もピアノを弾くような場合は数年で交換が必要になるでしょう。 定期的なメンテナンスと、適切な処置を行っていれば60年が一般的な目安になりますが、それより長く良い状態を保てる可能性もあります。 2.技術的な側面 技術的な側面とは、演奏者が満足できるかどうかです。 主にアップライトピアノに言えることですが、レベルが上がるにつれてグランドピアノでないと弾きづらかったり表現しづらいと感じることがあります。構造的な違いなので仕方のないことですが、演奏者がピアノのポテンシャルを超えてしまうことは珍しくありません。また、ピアノの大きさやグレードの違い、メーカーの違いについても好みや要求によってピアノを買い替えるきっかけになりえます。役目を終えるタイミング=寿命といえるケースです。慣れ親しんだピアノとの別れは寂しいですが、そのピアノも新たに必要とされる方に出会うことでしょう。
こんにちは、調律師の西見です。 先日お電話にてピアノの調律をするためのチューニングハンマーは売っていますか?というご質問がありました。 ピアノは、チューニングピンという突起状の棒を回すことで音の高さを調整します。チューニングハンマーというのはそのチューニングピンを動かすための道具です。 ピアノの大きさにもよりますがピンは全部で220~230本あり、それを一本一本調整するのが「調律」です。 チューニングハンマーは使用に足るもので1万円程度から購入できます。 他に必要なものをそろえても2万円もあれば、最低限調律に必要な道具は揃えられるでしょう。 さて、本題に戻りますが、個人的には調律はプロに任せたほうが無難だと思います。 先ほど、チューニングピンを回して音の高さを合わせると言いましたが、ものすごく狂っている場合を除けば、実際の調律ではピンを回すことはほとんどありません。ピンを大きく動かすほど、根元の板(ピン板)を傷めてしまうからです。私たちはピン操作と言ったりしますが、触れるとか力を加えるくらいのニュアンスのほうが近い気がします。 このように、音を合わせる作業はとても繊細で経験を踏まなくてはなかなか習得できるものではありません。 また、精度の高いチューナーもありますが、調律師はチューナーを参考にすることはあっても、それ通りに調律する人はまずいません。あえて理論値から外すケースもあります。全体のバランスを考えて美しさや心地よさのあるピアノに仕上げるためには経験が必要です。 調律はしてもらっているのだけど、1音だけ変なところがあるを直したい、というようなときも、まずは担当する調律師に相談してみましょう。
こんにちは、調律師の西見です。 ピアノをおうちに迎い入れる際は、重さを気にされる方が多いです。 今日はピアノを置く場所についての注意しておく点をお伝えします。 1.床の強度について ピアノの重量はグランドピアノで255㎏~410㎏、アップライトピアノで210㎏~275㎏です。 一般住宅の場合、1平方メートルあたり180㎏耐えられるように建築基準法で定められています。ピアノの横幅は150㎝程度、奥行きはアップライトピアノで60~70㎝程度、グランドピアノで150~230㎝程度ですので、事前に基準をクリアしているかの確認が必要になります。 経験上、補強なしで床が抜けてしまったケースは聞いたことがありませんが、特にピアノが重い場合や設置が1階以外、木造建築の場合などは工務店やハウスメーカーに確認をとったほうが無難といえます。 2.設置場所 設置場所で避けたほうがいい場所は ➀直射日光が当たる場所 ➁浴室近くなど、湿気のたまりやすい所 ➂エアコンの風が直接当たる場所 ➃床暖房の上 ※断熱マットなどで対応可 です。 ピアノは温度や湿度の変化に敏感に反応します。 変化の繰り返しや過乾燥・過湿は調律や調整の狂いにつながり、歪みや割れ、錆など故障の原因にもなるので注意が必要です。 ピアノにとっての快適な温度は20℃程度、湿度は50%程度で一定が理想です。一般のご家庭では温度は15~25℃、湿度は40~60%に収まっていれば、大きなトラブルにはつながりにくいでしょう。 他に、背面から音が出るので、お隣に面している壁は避けるのが無難です。 また、ピアノは調律や調整作業が必要ですので、椅子を置く側(手前側)に奥行き1メートル程度のスペース、さらにアップライト場合は右側に15㎝程度のスペースを設けていただくと、メンテンナンスの際にスムーズに作業を行うことができます。
はじめまして。ピアノ調律師の西見と申します。 普段は栃木県の県南地域にあるオンダ楽器の一社員として働いています。 ほとんどの人がインターネットから情報を得るようになって、私もよく検索をするようになりました。 そのなかで「得た知識を体系的にまとめておきたい」、「自分を含め、同僚の技術者としての考え方も残したい」、「同分野はもちろん、他分野も学ぶことで、幅広い捉え方ができるようになりたい」と考えた末、多くの人にも共有してもらえるようにサイトを作ろうということになりました。 このサイトでは、音楽や楽器にまつわる身近な疑問や豆知識をはじめ、専門の技術者によるプロの視点からのアドバイスなども掲載していきます。面白い記事を見つけた際はそちらの紹介もしていきます。 このような活動を通して皆様の音楽ライフを少しでも豊かにするお手伝いができれば幸いです。 ※他でもいえることですが、技術の分野には様々な考え方や方法論があり、数年後には正解が変わっているということもあります。私も一技術者として、驕らず日々精進しようと思っておりますが、先輩方と比べて、至らぬところや間違った認識を持っているところもあるでしょう。気づきを得た際には、なるべく早く内容を訂正したいと思います。
こんにちは、調律師の西見です。 ピアノは作られてからいったい何年使えるでしょうか?50年?100年?それ以上? その答えは様々な意見がありますが、特に決まった寿命は存在しません。 ピアノの寿命について考えるとき、物理的な側面と技術的な側面に分けて考えることが必要です。 1.物理的な側面 物理的な側面とは、ピアノの限界年数や実用年数のことです。 単純に音が出るだけなら、弦を支えている鉄骨(フレーム)が割れていない、弦が切れていない、中のパーツが折れていない等、最低条件はあるにせよ、100年程度は持つでしょう。音楽をきちんと奏でられる状態は使用頻度と環境に加えて、定期的ににメンテナンスがなされているかが影響します。 ピアノには膨大な数のパーツが使われています。そしてそのパーツが組み合わさり、連動することで音が出ます。各パーツの接点には摩擦や衝撃が発生し、使用するたびに摩耗(劣化)していくので、これらの消耗品は交換の必要があります。音大生のように毎日何時間もピアノを弾くような場合は数年で交換が必要になるでしょう。 定期的なメンテナンスと、適切な処置を行っていれば60年が一般的な目安になりますが、それより長く良い状態を保てる可能性もあります。 2.技術的な側面 技術的な側面とは、演奏者が満足できるかどうかです。 主にアップライトピアノに言えることですが、レベルが上がるにつれてグランドピアノでないと弾きづらかったり表現しづらいと感じることがあります。構造的な違いなので仕方のないことですが、演奏者がピアノのポテンシャルを超えてしまうことは珍しくありません。また、ピアノの大きさやグレードの違い、メーカーの違いについても好みや要求によってピアノを買い替えるきっかけになりえます。役目を終えるタイミング=寿命といえるケースです。慣れ親しんだピアノとの別れは寂しいですが、そのピアノも新たに必要とされる方に出会うことでしょう。
こんにちは、調律師の西見です。 先日お電話にてピアノの調律をするためのチューニングハンマーは売っていますか?というご質問がありました。 ピアノは、チューニングピンという突起状の棒を回すことで音の高さを調整します。チューニングハンマーというのはそのチューニングピンを動かすための道具です。 ピアノの大きさにもよりますがピンは全部で220~230本あり、それを一本一本調整するのが「調律」です。 チューニングハンマーは使用に足るもので1万円程度から購入できます。 他に必要なものをそろえても2万円もあれば、最低限調律に必要な道具は揃えられるでしょう。 さて、本題に戻りますが、個人的には調律はプロに任せたほうが無難だと思います。 先ほど、チューニングピンを回して音の高さを合わせると言いましたが、ものすごく狂っている場合を除けば、実際の調律ではピンを回すことはほとんどありません。ピンを大きく動かすほど、根元の板(ピン板)を傷めてしまうからです。私たちはピン操作と言ったりしますが、触れるとか力を加えるくらいのニュアンスのほうが近い気がします。 このように、音を合わせる作業はとても繊細で経験を踏まなくてはなかなか習得できるものではありません。 また、精度の高いチューナーもありますが、調律師はチューナーを参考にすることはあっても、それ通りに調律する人はまずいません。あえて理論値から外すケースもあります。全体のバランスを考えて美しさや心地よさのあるピアノに仕上げるためには経験が必要です。 調律はしてもらっているのだけど、1音だけ変なところがあるを直したい、というようなときも、まずは担当する調律師に相談してみましょう。
こんにちは、調律師の西見です。 ピアノをおうちに迎い入れる際は、重さを気にされる方が多いです。 今日はピアノを置く場所についての注意しておく点をお伝えします。 1.床の強度について ピアノの重量はグランドピアノで255㎏~410㎏、アップライトピアノで210㎏~275㎏です。 一般住宅の場合、1平方メートルあたり180㎏耐えられるように建築基準法で定められています。ピアノの横幅は150㎝程度、奥行きはアップライトピアノで60~70㎝程度、グランドピアノで150~230㎝程度ですので、事前に基準をクリアしているかの確認が必要になります。 経験上、補強なしで床が抜けてしまったケースは聞いたことがありませんが、特にピアノが重い場合や設置が1階以外、木造建築の場合などは工務店やハウスメーカーに確認をとったほうが無難といえます。 2.設置場所 設置場所で避けたほうがいい場所は ➀直射日光が当たる場所 ➁浴室近くなど、湿気のたまりやすい所 ➂エアコンの風が直接当たる場所 ➃床暖房の上 ※断熱マットなどで対応可 です。 ピアノは温度や湿度の変化に敏感に反応します。 変化の繰り返しや過乾燥・過湿は調律や調整の狂いにつながり、歪みや割れ、錆など故障の原因にもなるので注意が必要です。 ピアノにとっての快適な温度は20℃程度、湿度は50%程度で一定が理想です。一般のご家庭では温度は15~25℃、湿度は40~60%に収まっていれば、大きなトラブルにはつながりにくいでしょう。 他に、背面から音が出るので、お隣に面している壁は避けるのが無難です。 また、ピアノは調律や調整作業が必要ですので、椅子を置く側(手前側)に奥行き1メートル程度のスペース、さらにアップライト場合は右側に15㎝程度のスペースを設けていただくと、メンテンナンスの際にスムーズに作業を行うことができます。
はじめまして。ピアノ調律師の西見と申します。 普段は栃木県の県南地域にあるオンダ楽器の一社員として働いています。 ほとんどの人がインターネットから情報を得るようになって、私もよく検索をするようになりました。 そのなかで「得た知識を体系的にまとめておきたい」、「自分を含め、同僚の技術者としての考え方も残したい」、「同分野はもちろん、他分野も学ぶことで、幅広い捉え方ができるようになりたい」と考えた末、多くの人にも共有してもらえるようにサイトを作ろうということになりました。 このサイトでは、音楽や楽器にまつわる身近な疑問や豆知識をはじめ、専門の技術者によるプロの視点からのアドバイスなども掲載していきます。面白い記事を見つけた際はそちらの紹介もしていきます。 このような活動を通して皆様の音楽ライフを少しでも豊かにするお手伝いができれば幸いです。 ※他でもいえることですが、技術の分野には様々な考え方や方法論があり、数年後には正解が変わっているということもあります。私も一技術者として、驕らず日々精進しようと思っておりますが、先輩方と比べて、至らぬところや間違った認識を持っているところもあるでしょう。気づきを得た際には、なるべく早く内容を訂正したいと思います。